落語界初! 電子マネーで木戸銭決済!
〜立川こしら独演会〜
振り替え休日の月曜日、立川志らく師匠の総領弟子、
立川こしらさんの独演会に行ってきました。
実はこの日は、弟弟子の立川志らべさんの定例会に行く予定でした。
志らべさんの定例会は昨年12月から、阿佐ヶ谷駅前のライブスペースに会場を移し、「ラクゴ・サイドを歩け!」とタイトルも新たにスタート。会場のキャパは二十数名とそれほど大きくありませんが、懇親会もあり、フレンドリーな雰囲気の落語会です。
何とか開演時間にすべり込もうと焦りつつ、
会場までのアクセスを確認しようとチラシを見ると‥‥
げっ! 開演時間を30分、間違えてた! どう頑張っても絶対、間に合わん‥‥
焦っていろんな落語会のチラシの束を床に落としてしまい、ワサワサと広い集めていると、兄弟子、こしらのチラシが出てきた。同じ日に日本橋で19時30分から。
こっちなら余裕で間に合う‥‥と心の中でこしら、じゃない、自分がささやく。
同じ一門の兄弟弟子なんだから、調整せえよとツッコミたくもなりますが、
皆さん、自分でスケジューリングしているので、よくあることのようです。
志らべ会はあきらめ、まだ時間があるので、
今度は日本橋の会場までのアクセスを調べようと、
こしらさんのホームページをのぞいてみると、なんと!!
Edy入場で半額の1000円
の文字が〜! マジっすか!?
「半額」や「タイムサービス」には、アドレナリン出まくりのおばちゃん体質。
この瞬間、志らべも阿佐ヶ谷もどこかへ飛んでいきました。(今回だけです、すみません)
Edyを使ったことはなかったのですが、どうにかして1000円で入ってやろうと、ネットで調べまくった結果、コンビニのサンクスのEdyカードが、手ごろな価格で簡単に入手でき、すぐに使えるらしいことが判明。アドレナリンの力。
「こしらの集いって、ヤンキーの集会じゃないよな」的な一抹の不安を抱きつつも、駅前のサンクスでEdyカード(300円)を購入し、その場でチャージして
一路、日本橋へ。
3連休最終日の夜、人通りがほとんどない日本橋三越前の大通り。暗いビルの谷間の細い道へ入っていくと、まばらな人影は皆、そこだけ煌煌と輝く「お江戸日本橋亭」に吸い込まれていく。
虫になった気分。
受付にはEdyの読み取り機が置いてあり、受付のおねえさんにレシートとチラシをもらって、
あっという間に支払い完了。カード代金300円を引いても700円割引だぞ。やったあ〜!!
こしらさんによると、電子マネーで入場料が払える落語会は世界初だそうな。
日本の噺家さんがアメリカなど海外で開催している落語会ツアーで、すでに電子マネーが導入されている可能性もないとは言えませんが、「Edy決済で木戸銭半額」が世界初であることは、ほぼ間違いないところでしょう。快挙ですよ! 快挙!!
ただし、こしらさんはモバイルEdyの利用を想定していたようです。
************************************
休日夜のオフィス街にもかかわらず、客席は8割以上の入りでした。最初に高座に上がったのは弟弟子の立川らく次さん。
まくらは噺家さん恒例のお正月の挨拶回り。兄弟子・こしらは羽織袴にごっつい登山靴、ダウンジャケット、リュックという格好で現れた模様。
「兄さん、挨拶回りに行くのに、何て格好しているんですか!」と驚く正装の弟弟子に、
「らく次、おまえ、なに落語家ぶってんの」と、袴の裾をピラピラさせながら返す兄弟子。
「え〜っ!! おれたち落語家じゃないんですかあ!?」
‥‥この人、完全に頭おかしいよ、と呆れかえるらく次さんの目に入って来たのは、羽織袴に靴、ダウンジャケットの家元の姿でした。
落語の演目は「雛鍔」(ひなつば)。短めでしたが、テンポよく、らく次さんのキャラにもよく合っています。
その後がこしらさん。
1席目はヤンキーテイストなそば屋と客のやりとりが妙にリアルな「時そば」。こしらさんの「時そば」を聴くのは先月の志らく一門会以来、2度目ですが、今回も大笑い。
次はなぜか年末ネタの「尻餅」。噺家さんによっては、引いてしまうくらいお下劣に演じるネタですが、意外にも(?)こしらさんのは上品な仕上がり。おかみさんにも若さと勢いが感じられ、こしら流演出に大笑いしつつも、後味のいい「尻餅」でした。
最後は大迫力のB級ホラー「鰍沢」(かじかざわ)。冒頭、羽織の紐をほどく手つきが怪しい。ときどき思い出したように古典落語調になるのもおかしい。何をやってもこの噺家さんは面白い。
************************************
この日の会では、もうひとつ「世界初」がありました。こしらさんの高座のライブ動画を音声を消し、ネットで同時配信していたんです。「何しゃべってるのかなあ」と想像しながら見ると、サイレントこしらも案外、面白いかもしれません。
電子マネーの導入やネット配信は、こしらさんご本人のアイデアだそうです。「僕が全部、自分でやりました。本来は周囲にこういうことを考えたり、実行したりするスタッフを置けばいいんですけどね」と、高座のこしらさんは苦笑していましたが、落語家じゃなくても、こんなことを考えつく人はなかなかいません。ましてや実行力もある噺家さんとなると、稀少な存在。スタッフにおまかせ、なんて噺家さんはたくさんいるんですから、これからも「こしらオリジナル」の新しい仕掛けをどんどん繰り出して、落語ともども楽しませていただきたいです。
************************************
「鰍沢」は題名を知らなかったので、翌日ランチをご一緒させていただいた林家ぼたんさんに教えてもらいました。ぼたんさんが貴重なお時間を割いてくださったインタビュー、近々アップの予定です。拙稿をもってしても、十分に読み応えのある中身の濃い記事になりそうです。乞うご期待!
志らべさんの会、2月はちゃんと行きます。18時、18時‥‥。
|