鈴々舎馬るこさん―4


「うちの師匠(鈴々舎馬風)は、毎週欠かさず談志師匠の番組を観て、げらげら笑っています」
――新作や古典の改作を考えていくのは大変ではないですか?
馬るこ イッセー尾形さんの一人芝居「ハンコ押せ・・・ば」(※12)みたいな「とことんまで追い詰められた人間の行動」なんて、とても面白いと思うんですよ。それなら、落語の中で登場人物をとことんまで追い込んでみようと。その結果「名前をハングル語で、しかも某国の国営放送風に言わなきゃいけない」みたいな枷を与えたら面白いんじゃないかーーとやってるうちに落語が変化していくんです。
 これからも「面白い」落語になるように、いろんなネタにどんどん取り組んでいきたいと思います。
 もちろん、濃いめの落語ファン向けのネタもきちんと仕込んでますよ。今年(08年)の大銀座落語祭で「真景累ヶ淵」(三遊亭圓朝作)も
やりました。濃い落語も実は嫌いではないんです。少し前に「蒟蒻問答」をやって、いい出来だと周囲の評判は良かったんですが、あるお客さんから「良かったけど、今回は何か物足りない」って言われて。この人は単純に爆笑したかったんですよね。こういうお客さんが僕の本来のターゲットなんですけど、じっくり古典を聴きたいお客さんにも満足してもらいたいし、難しいところです。
――落語以外のお笑いも、やっていきたい気持ちはありますか?
馬るこ もちろん。脱走したとき、葛西臨海公園へ行って、海を見ながら漫談のネタを考えていました。自分は根っからのお笑い芸人なんだなあ、と思いましたよ。でも、落語家になってよかったと思っていますし、今後も落語を前面に出していきたいですね。

※12 『イッセー尾形 The Best of Best Collection '89-'93 DVD BOX1』(ポニーキャニオ
    ン)に収録。


鈴々舎馬るこ
profile
鈴々舎馬るこ(れいれいしゃ まるこ)
本名:松友宏士。1980年8月4日、山口県防府市生まれ。11歳より長唄三味線を始める。大学在学中にアマチュア芸人を経て、ピン芸人兼番組制作ADのような仕事に携わる。大学を中退し、2003年5月、鈴々舎馬風に入門。同年6月より前座。06年5月、二つ目に昇進。落語を中心にギター漫談、イベント司会など幅広い分野で活動中。2017年3月真打昇進。
オフィシャルブログ→「馬るこ亭」
ホームページ→鈴々舎馬るこのほーむぺーじ
馬風一門のサイト→鈴々舎馬風一門の長屋



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